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更新日:2026.08.01

住まいづくりコラム

家族がこもりたくなる「ヌック」とは?設計のコツと注意点

窓辺のヌック

「ヌック」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。リビングの片隅や階段下につくる、2畳ほどの小さなこもり空間のこと。広さを競う時代から「心地いい居場所」を大切にする時代へ――住まいづくりのトレンドが移り変わるなかで、いま注目度が静かに高まっています。
折しも、季節は読書の秋。文化庁の調査では、月に1冊も本を読まない人が6割を超えました。その理由のひとつは、家のなかに「読みたくなる場所」がないからかもしれません。もしかすると、心地よいヌックはそんな「読みたくなる場所」として、新たな時間を刻んでくれるのではないでしょうか。

ヌックとは?小さな「こもり空間」の正体

まずは、ヌックという言葉の意味と定義から整理します。書斎や小上がりといった似た空間との違いを知ると、ヌックという居場所の魅力が、よりはっきりと見えてくるはずです。

語源はスコットランド語の「neuk(隅)」

ヌックとは、家の一角につくる1〜2畳程度の、居心地のいい小さな空間のこと。その語源は、スコットランド語で「隅」を意味する「neuk」にあるといわれています。原型とされるのは、暖炉脇の温かな隅に腰かけてくつろぐ「イングルヌック」。寒い地域で、火のそばのいちばん心地よい場所に人が自然と集まった――そんな暮らしの知恵から生まれた空間です。
最大の特徴は、部屋として独立させず、壁やリビングと緩やかにつながっていること。ドアで仕切られた個室とも、ただの広いリビングとも違う、「半分囲まれた」絶妙な距離感が、ヌックならではの心地よさを生みます。

書斎・小上がりと何が違う?

混同されやすいのが、書斎や小上がりとの違いです。書斎は個室、あるいは最近増えている半個室で、デスクに向かってきちんと作業をするための場所。目的がはっきりした「働く・学ぶ」空間です。一方のヌックは、扉を持たない半個室や片隅のスペースで、本を読んだり、ぼんやりしたりと、肩の力を抜いてくつろぐための場所。
また、小上がりは床に段差をつけて領域をやんわり区切る手法のことですが、それ自体がヌックをつくる手段のひとつにもなります。つまり「小上がりを使ったヌック」という組み合わせも成り立つわけです。

読書の秋とヌック――「読む場所」が読書量を変える

なぜいま、ヌックがこれほど支持を集めているのでしょうか。その背景には、暮らし方の変化と、ある調査データが見え隠れします。

窓辺で読書をする女性

月に1冊も本を読まない人は62.6%

文化庁の「国語に関する世論調査」(令和5年度)では、1か月に1冊も本を読まない人が62.6%にのぼり、過去最多を記録しました。さらに、読書量が減った理由の1位は「携帯電話、スマートフォンなどの情報機器で時間が取られる」で、43.6%を占めています。
この数字は、裏を返せば大きなヒントになります。スマホに時間を奪われているのなら、スマホと自然に距離を置ける「読書の定位置」が家のなかにあれば、人は再び本に戻れるということ。リビングの隅にこもれる居場所があるだけで、「ちょっと座って一章だけ」という時間が生まれます。場所が習慣をつくる――ヌックは、その小さな仕掛けになり得るのです。

参考:文化庁「令和5年度 国語に関する世論調査の結果の概要」

こもり感が集中とリラックスを同時に生む

適度に囲われた狭い空間は、「落ち着く」「集中できる」と感じる人が多いもの。天井が低かったり、袖壁で守られていたりすると、視界に入る情報が絞られ、目の前のことに没頭しやすくなります。これは読書だけでなく、在宅ワークや子どもの勉強にも通じる効果です。
さらに、こもり感には心をほぐす作用もあります。広々とした空間が開放感を与えるのに対し、囲まれた空間は安心感を与える。人は、その両方を求める生きものです。だからこそ、開放的なLDKのなかに、あえて小さなこもり空間をひとつ用意することに意味があります。
子どもにとっては「秘密基地」のようなワクワク感も加わり、自然と本やお絵かきに向かう習慣づくりにもつながっていくかも?

ヌックのつくり方――場所・広さ・本棚の組み合わせ

ヌックの魅力がわかったところで、ここからは実際の設計で押さえておきたいポイントを具体的に見ていきます。「どこに」「どれくらいの広さで」「何と組み合わせるか」――この3つが、使われるヌックと使われないヌックの分かれ道になります。

ヌックに向いている場所

まず定番が、階段下。デッドスペースになりがちな場所ですが、頭上の低さがむしろ心地よいこもり感に変わります。窓際なら、ベンチと一体化した「ウィンドウシート」型がおすすめ。外の光がたっぷり入り、読書には最適なポジションです。
リビングの一角を、小上がりや下がり天井で緩やかにゾーニングする方法も人気。床や天井の高さを少し変えるだけで、同じLDKのなかに「別の居場所」が生まれます。また、スキップフロアの中間階は、家族の気配を感じつつ視線は合わない、絶好のヌック適地。
吹き抜けを介した2階ホールなどに広めにとる場合は、ヌックというより、フリースペースやセカンドリビングといった扱いになるのが一般的です。

親子3人がくつろぐLDK

広さは1〜2畳が目安

ヌックの広さは、1〜2畳が目安。座って読書するだけなら、1畳でも十分に成立します。むしろ大切なのは、広さよりも寸法のとり方。大人が脚を伸ばせるよう、ベンチの奥行きは60cm以上あると、よりくつろげます。背もたれの角度やクッションを置けるゆとりも、居心地を左右する要素。
逆に注意したいのが、広くしすぎること。スペースに余裕があるからと2畳を超えて広げると、せっかくの「こもり感」が薄れ、ただの小部屋になってしまいます。ヌックの心地よさは、適度に囲われているからこそ。同時に何人が使うのか――ひとりの隠れ家にするのか、親子で並んで座るのか――を思い描きながら、ちょうどいい広さを見極めるのがコツです。

本棚と組み合わせて「ライブラリーヌック」に

ヌックの楽しみ方を大きく広げてくれるのが、本棚との組み合わせ。壁面を造作の本棚にすれば、わずか1〜2畳でも数百冊を収められる「ライブラリーヌック」が生まれます。座ったまま手を伸ばせば本が取れる――この近さこそ、読書のハードルを下げる最大の工夫です。
ポイントは、すべてを背表紙で並べるのではなく、本の「面陳列(表紙見せ)」ができる棚板を一部に取り入れること。表紙が見えると、子どもは自然と本を手に取りやすくなります。本は目に見える場所にないと読まれないもの。お気に入りの絵本や、今読んでほしい本を表紙で見せる工夫は、リビング学習や読書習慣づくりにも効果的です。

関連記事:頭の良い子が育つ家とは?その間取りの作り方とポイントについてご紹介します!

永森建設の事例に見る「ヌックのある住まい」

ヌックは特別な間取りでも、限られた人のための贅沢でもありません。福井の住まいでも、実際に数多く取り入れられています。ここでは展示場と実例から、「こもれる空間」のリアルな心地よさを紹介します。

① 【見学可能】展示場『里音 RI-ON』

まず訪れてほしいのが、展示場『里音 RI-ON』。壁一面の本に囲まれる「小さな図書室」は、まさにライブラリーヌックの実例そのものです。ソファのような、小上がりのような、どこにも分類しきれない特別感のあるくつろぎスペースで、腰を下ろした瞬間に「ここに長くいたい」と感じられます。

本棚で仕切られたこぢんまりとしたヌック

見どころは、LDKの開放感と「程よい距離感の居場所」が同じ空間に共存していること。広々としたリビングのすぐそばに、これほど落ち着けるこもり空間がある――その対比を、実際に身体で体感できます。

» ヌックの事例を見る

② 【施工事例】家族みんなの「好き」を愉しむ住まい

床を一段下げることで、LDKと一続きのまま、半個室のようなこもり感が生まれた空間。段差に腰かけたり、寄りかかったり、寝転んだり――リビングでの過ごし方に、ぐっと幅が出ます。

ダウンフロアのこもり感があるヌック

本棚で緩やかに仕切れば、まるで秘密基地のようなコーナーに早変わり。家族の気配を感じながら、それぞれが思い思いの時間を過ごせます。なお、一段下がった床は段差につまずく危険もあるため、小さなお子様や高齢のご家族がいる場合は、段差の見せ方や手すりの有無を設計段階で検討しておくと安心です。

» ヌックの事例を見る

関連記事:こもり感が人気!ステップダウンフロアのある家

後悔しないための注意点

そんな魅力たっぷりヌックですが、「なんとなく良さそう」という理由だけでつくると、いつのまにか物置きになってしまう――そんな失敗も少なくありません。せっかくの居場所を活かすために、設計前に押さえておきたい注意点を整理します。

目的を明確にする

まず何より大切なのが、用途をはっきりさせること。読書なのか、在宅ワークなのか、子どもの遊び場なのか、昼寝のためなのか――主に何をする場所かを決めてから設計に入ります。用途が定まれば、必要な広さ、棚の有無、カウンターの形や高さも自然と決まってきます。
逆に、目的があいまいなまま「おしゃれだから」とつくると、中途半端な空間になりがち。座り心地が読書に向かない、机が低すぎて作業できない、といったミスマッチが起こります。

照明・コンセント・空調を忘れずに

読書をするなら、手元をしっかり照らすブラケットライトやスポット照明が必須。天井の照明だけでは、座ったときに手元が影になってしまうかもしれません。
また、スマホの充電やノートPCの使用を想定するなら、コンセントの位置と数も事前に決めておきたいところ。あとから延長コードを這わせるのは、見た目にも安全上も好ましくありません。さらに、リビングの空調が届きにくい奥まった位置にヌックをつくる場合は、通風や空気の循環も設計段階で確認を。夏に暑く冬に寒い場所では、結局使われなくなってしまいます。

将来の使い方の変化も想定

ヌックは、長い目で見て使い方が変わっていく場所でもあります。今は子どもの遊び場でも、数年後には勉強コーナーに、子どもが独立すれば夫婦のワークスペースやペットのお気に入りの居場所に――。そうした変化を見越して、転用しやすい設計にしておくと、長く活躍してくれます。

ヌックとつながるワークスペース

たとえば、棚を可動式にしておく。本の量が変わっても、しまう物が変わっても、棚板の高さを変えるだけで対応できます。そもそも用途が変わる可能性があるなら、既製の棚を置くスペースだけ用意しておくのも一案。ほどよい余白を残しておくことが、変化に強いヌックの条件です。

関連記事:造作家具の魅力とは?暮らしを彩る造作家具で「後悔ゼロ」を実現する方法

永森建設がつくる「こもれる空間」

永森建設は、リビングの開放感と「こもれる居場所」の両立を、設計の得意分野としています。造作の本棚やベンチ、小上がりを、その住まいの空間に合わせてミリ単位でつくり込み、家族それぞれの「お気に入りの隅」を用意します。

実際の家づくりでは、「趣味の時間にこもれる隠れ家がほしい」「子どもが本好きになる場所をつくりたい」といったご要望をいただくことも多くあります。そうした想いを丁寧にうかがいながら、暮らしにすっと馴染むヌックを提案する。しかし、こもり空間の心地よさは言葉や図面だけではなかなか伝わりませんから、まずはモデルハウスで実際に座って、その居心地を確かめてみてください。

関連記事:間取りが広く見えるようになるポイントとは?LDKの形を例にご紹介します!

まとめ

ヌックとは、家の一角につくる1〜2畳ほどの心地いいこもり空間。読書離れが進む時代だからこそ、本棚と組み合わせた「読む場所」としての価値が、あらためて見直されています。
つくるうえでのポイントは、場所選び、広さのとり方、照明やコンセントなどの設備計画、そして何より目的の明確化。この4つを押さえれば、長く愛される居場所になります。
永森建設では造作を活かしたヌックで、家族それぞれの「お気に入りの居場所」をかたちにしていきます。広いだけではない、心地よさで満たされた住まいを、一緒につくりましょう。

更新日:2026.08.15

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