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更新日:2026.08.27

住まいづくりコラム

造作家具ってなに?実例で見る「わが家専用」の家具づくり

二階ホール一面の造作本棚

壁や床とすき間なく一体化し、空間にぴたりと収まる造作家具。テレビボード、本棚、キッチン収納、洗面台——住まいのあらゆる場所で活躍する“造り付け”の家具は、既製品では出せない一体感で、暮らしの質をぐっと引き上げてくれます。その一方で、造作家具には「一度つくってしまったら、二度と動かせない」という注意点も。
そもそも造作家具とは何なのかをあらためて考えながら、キッチン収納から本棚、テレビボードまで、設置場所別の実例を通して、その魅力と後悔しないためのポイントを見ていきましょう。

造作家具とは?既製品との違い

造作家具とは何か。置き家具(既製品)との違いを知ると、造作ならではの価値がはっきりと見えてきます。まずは言葉の意味と、その特徴を整理しておきましょう。

関連記事:こんなの欲しい!造作家具

空間に「シンデレラフィット」する造り付け家具

造作家具とは、建築の一部として設計・施工される“造り付け”の家具のこと。一般的には家具(木工)職人が製作しますが、大工さんが手がけることもあります。住宅の設計段階でその空間専用に設計し、現場で組み立てて、壁・床・天井と一体化させていきます。ミリ単位で設計されるため、既製品では避けられないすき間やデッドスペースが生まれない。“シンデレラフィット”の美しさが最大の特徴です。

造作・セミオーダー・既製品はどう違う?

家具の選び方は、大きく3つに分けられます。既製品は、完成品を選ぶスタイル。安価で導入しやすい反面、サイズや色は用意された選択肢の中から選ぶことになります。セミオーダーは、規格の枠内でサイズや面材を調整できる中間的な選択肢。そして造作(フルオーダー)は、空間に合わせてゼロから設計する、もっとも自由度の高い方法です。「どこまでこだわるか」で、費用と満足度のバランスを取っていくとよいでしょう。

造作家具のメリット・デメリット

造作家具のメリットは、なんといっても空間との一体感が出ること。素材や色に統一感が生まれ、インテリア全体が引き締まります。

造作カウンターと書棚のある書斎コーナー

壁や天井に固定されるため、地震のときに転倒しにくいのもメリット。実際、総務省消防庁によると、過去の大きな地震では、けがをした人のうち3割から5割が家具類の転倒・落下・移動によるものとされ、家具の固定が広く呼びかけられています。造作家具なら、突っ張り棒のように美観を損なうことなく、安全性を高められるのが嬉しいですね。
柱の出っ張りや勾配天井、階段下スペースといった変則的な形状も、造作家具なら無駄なく活用できます。

一方でデメリットは、既製品より費用がかかりやすいことと、後から動かせないこと。だからこそ「どこに、何を、なぜつくるか」を設計段階でしっかり見極め、予算に応じて導入箇所をきちんと絞り込むことが大切です。

参考:総務省消防庁「地震による家具の転倒を防ぐには」

場所別・造作家具の実例

造作家具は、住まいのあらゆる場所で活躍します。ここでは代表的な場所ごとに、造作収納の実例のイメージと計画のポイントを見ていきましょう。永森建設の施工事例もあわせてご紹介します。

キッチン収納

背面のカップボードやパントリーを造作でそろえると、LDK全体に統一感が生まれます。家電の高さ、収納するものや量、コンセントの位置まで見込んで設計できるのが、造作ならではの強み。キッチンそのものを家具調に仕立てたり、テーブル一体型のカウンターをつくったりと、アイデアしだいで表情は自由自在です。

〈事例〉永平寺町「陽だまりの住まい」

キッチン背面に造作のカップボードを設えた実例。グレーのタイルと色味をそろえることで、生活感の出やすい手元をさりげなく隠しつつ、一直線に伸びるLDK全体に落ち着いた統一感を生み出しています。木の温もりが感じられる、やさしい雰囲気の空間です。

ナチュラルな造作カップボード

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関連記事:完全オリジナルの造作キッチンで、料理をもっと楽しもう!

テレビボード

テレビボードと壁面収納を一体で造作すれば、配線やルーターをすっきり隠せます。床から天井まで使った壁面収納なら、収納力が高く、意匠性も両立。床から浮かせたフロートタイプのテレビボードにすると、部屋が広く見えて掃除もしやすくなります。壁掛けテレビの場合でも、ちょっとした造作収納があるだけで、まわりが見違えるほどすっきりします。

〈事例〉福井市「『好き』に囲まれた住まい」

壁掛けテレビの上下を、木目の造作収納でまとめた実例。上部は扉付きの吊り戸棚で生活感を隠し、下部は床から浮かせたフロートタイプに。足元が抜けて広く見え、掃除もしやすいつくりです。無垢の床やスケルトン階段の木肌ともトーンをそろえた、すっきりと上質な壁面に仕上がっています。

フロートタイプの造作テレビボード

» テレビボードの事例を見る

デスク

LDKの片隅に造作デスクがあれば、ちょっとしたワークスペースに。カウンターを一枚渡すだけでも、デスクとして十分に機能します。予算に応じて、デスク下収納やウォールシェルフを組み合わせたり、ニッチをつくって棚代わりにしたり。照明やコンセントと合わせて計画すれば、使い勝手のよさと配線の見え方まで整えられます。

〈事例〉鯖江市「ほぼ平屋の住まい」

LDKの一角に造作カウンターを設けた実例。お子さまの宿題やちょっとした家事、在宅ワークまで、家族それぞれが同じ空間にいながら思い思いに過ごせる“もうひとつの居場所”になっています。暮らしの流れに自然と溶け込む、造作ならではのデスクスペースです。

窓辺に造作した座卓

» デスクの事例を見る

本棚

壁面を造作本棚にすれば、わずか1〜2畳でも数百冊規模の収納力を確保できます。表紙を見せる「面陳列」の棚を一部に取り入れると、子どもたちが本を手に取りやすくなるかも。デスクカウンターと組み合わせれば、本格的な書斎の完成。読書好きの家庭には、造作の本棚は必須ですね!

〈事例〉福井市「心月の住まい」

寝室へと続く廊下に、本をたっぷり置けるスペースを造作した実例。毎日の動線上に“大人のギャラリー”のような本棚があることで、寝る前に一冊を選ぶ時間が生まれます。暮らしの時間をゆたかにしてくれる、造作家具ならではのアイデアです。

廊下と兼用の造作本棚

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ランドリーカウンター

ランドリールームの造作カウンターは、たたむ・干す・アイロンがけをこなす家事台として活躍します。可動棚や室内干しバーと組み合わせれば、洗濯動線を一か所に集約でき、家事の効率が上がります。タオルや洗剤ストックの収納まで、家事の流れに沿って造り込めるのが造作の強み。手洗いや部分洗い用に洗面器を組み込むこともできます。

〈事例〉住宅展示場「里音-RION-」【見学可能】

キッチンのすぐ横に家事室を設け、造作の収納棚とカウンターを組み込んだ実例。「洗う・干す・たたむ・しまう」を同じ空間で完結できるため、家事動線がぐっと短くなります。忙しい毎日の負担をやわらげる、機能的な家事スペースです。

ランドリールームの造作収納カウンター

» ランドリーカウンターの事例を見る

シューズボックス

玄関のシューズボックスも、内観のテイストに合わせてデザインを自由に設計できます。履物が多いなら壁一面の壁面収納に、余白を残したいなら腰高にと、暮らしに合わせて調整可能。花器や小物を飾れるスペースがあれば、お客様を迎える季節のコーナーにもなります。シューズクロークをつくるほどのスペースはないけれど玄関をすっきり見せたい、という人におすすめです。

〈事例〉永平寺町「ホタルの住まい」

壁面に沿って造作したフロートタイプのシューズボックスが印象的な玄関の実例。床から浮かせることで足元に抜けが生まれます。勾配天井の間接照明と、中庭の緑をのぞむスリット窓のやわらかな光が、履物を隠したすっきり空間を上質に演出します。

フロートタイプの造作下駄箱

» シューズボックスの事例を見る

造作家具で後悔しないための注意点

自由度が高い造作家具だからこそ、計画しだいで満足度もかかるコストも変わってきます。後悔を防ぐために押さえておきたい点を整理しておきましょう。

関連記事:造作家具の魅力とは?暮らしを彩る造作家具で「後悔ゼロ」を実現する方法

コストと優先順位を決める

すべてを造作にすると費用がかさみやすいため、「造作すべき場所」をしっかりと絞り込むことが大切です。基本的には、空間をできるだけすっきり見せたい場所や、寸法がシビアな場所を優先します。目につきやすい部分、来客が出入りする部屋は造作にして、隠れる場所や死角になりやすい場所、家族しか使わない部屋は既製品にする、といった使い分けも有効。メリハリをつけることで、限られた予算でも満足度の高い家具づくりに。

可動性・将来の変化を見込む

造作家具は、原則あとから動かせません。だから、暮らしの変化を先に想像しておくことが大切。棚は可動式にしておくと、しまう物が変わっても棚板の高さで対応できます。流行にとらわれすぎたり、尖ったデザインにしてしまうと、あとで飽きがきて後悔することになるかもしれません。子どもの成長や趣味の変化まで見越し、転用しやすい設計にしておくこと。普遍性のあるデザインで、できるだけ永く、飽きることなく使い続けられる家具をつくることが大切です。変化をつけたいなら、ファブリックや小物、雑貨など、買い替えのきくもので工夫しましょう。

関連記事:収納の適材適所

メンテナンス・素材選び

無垢材は経年変化を楽しめる反面、水回りでは耐水・防汚性への配慮が必要です。使う場所に合わせて素材を選び、日々の手入れのしやすさも確認しておきましょう。たとえば、キッチンや洗面まわりには水や汚れに強い面材を、リビングやデスクには肌ざわりのよい無垢材を。場所ごとに使い分けるのがおすすめです。塗装の種類によっても、お手入れのしやすさや将来の再塗装のしやすさが変わるため、設計段階で相談しておくと安心。モデルハウスなどで実物の質感を確かめてから決めると、仕上がりのギャップを防げます。長く付き合う家具だからこそ、素材選びはていねいに。

LDK奥の造作ワークスペース

まとめ

造作家具とは、空間専用に設計・施工される“造り付け”の家具のこと。すき間なく収まる一体感、高い収納力、そして壁や天井に固定できる安全性が大きな魅力です。キッチン収納・テレビボード・本棚・ランドリーカウンター・シューズボックスなど、その活躍の場は住まい全体に。一方で、コストが上がりやすい、あとから動かせないといった懸念点もあるため、後悔しないためには、コストの優先順位づけと、将来の変化を見込んだ設計が欠かせません。

造作家具は、つくった瞬間がゴールではありません。使い込むほどに木肌が深まり、家族の暮らしの記憶とともに味わいを増していきます。だからこそ、10年後、20年後の暮らしまで思い描きながら計画することが大切です。子どもの成長や家族構成の変化にもゆるやかに対応できるよう、余白のある設計にしておくと、長く付き合える一台になるはずです。

更新日:2026.10.15

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