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更新日:2026.03.29
住まいづくりコラム
実家の建て替えで後悔しないために。費用・相続などの不安を解消
「そろそろ実家をどうにかしないと……」
そう感じたとき、まず頭に浮かぶのは“建て替え”という選択肢ではないでしょうか。老朽化した建物、使いにくい昭和の間取り、冬の底冷え——。福井の住宅事情を考えると、古くなった実家の建て替えは避けて通れない現実の課題でもあります。
そうは言っても、建て替えは決して小さなプロジェクトではありません。費用の問題、土地の名義、兄弟間の合意、将来の管理。細々としたことを考え始めると、何から手をつければいいか分からなくなってしまうことも。
この記事では、実家の建て替えでありがちな後悔のパターンと、その防ぎ方を整理しています。あわせて、建て替えかリノベーションかを判断するための視点も取り上げていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
実家の建て替えでよくある「3つの後悔」とその防ぎ方
建て替えを終えた後で「こんなはずじゃなかった」と後悔するパターンは、大きく分けて3つあります。それぞれに共通するのは、”事前に気づける”ことだという点。逆に言えば、早めに知っておくだけで大きな後悔は防げるということです。
1. 「お金」の後悔:建物以外にかかる費用を忘れていた
実家の建て替えを検討するとき、最初に意識するのは「新しい家の建築費」ではないでしょうか。でも実際には、それだけでは足りないのが建て替えの難しいところです。
古い家の解体費、工事期間中の仮住まい費用、さらに2回分の引っ越し代——。こうした建て替え特有の出費が、数百万円単位で積み重なります。たとえば木造住宅の解体費は1坪あたり3〜5万円が目安とされており、30坪の家なら解体だけで90〜150万円ほどかかる計算です。仮住まいが半年以上に及ぶ場合、家賃や生活費の二重負担も無視できません。
解決策:「総予算」で考える習慣をもつ
建物本体の費用だけでなく、解体・諸費用・引っ越し代までを含めた全体像を、最初の資金計画の段階でプロと一緒に算出しましょう。特に解体費は、敷地の接道状況(重機が入れるかどうか)や建物の構造・材質によって大きく変動します。それも概算ではなく、現地調査に基づいた見積もりを取ることが重要です。
費用の全体像が見えてはじめて、「何にどれだけかけるか」の判断ができますし、計画の入り口で総予算を把握しておくことが、後悔しない実家の建て替えの第一歩になります。
関連記事:福井県の新築一戸建て、人気の間取りと価格相場は?

2. 「相続」の後悔:名義や権利をあいまいにしていた
「土地は親の名義のままで、建物は自分たちの名義で建てる」というケースは意外と多いパターンです。費用の一部を子世代が負担する場合は特に、そうした形になることが少なくありません。
ところが、将来的に親が亡くなったとき、この土地をめぐって兄弟間でトラブルが生じてしまうことがあります。他の兄弟が「土地の持ち分を渡せ」と主張したり、相続税の負担でもめたり——。実家の建て替えを進めたにもかかわらず、家族の関係が悪化してしまうのは、誰にとっても避けたい事態です。
解決策:計画を始める前に家族で話し合う
「将来、この土地を誰が引き継ぐのか」「他の兄弟にはどう対応するのか」——こうした問いを、建て替えの計画と並行して話し合っておきましょう。親が元気なうちに名義や資産の整理を進めることが、相続トラブルを防ぐ一番の対策です。
必要であれば、司法書士や税理士といった専門家も交えて話し合いを。「お金の話は気まずい」と先送りにしていると、将来的により大きな問題として家族に降りかかります。
そういう意味では、実家の建て替えは相続を見直す絶好のタイミングともいえそうですね。
関連記事:福井の家づくり事情、建替えは新築とどう違う?
3. 「将来の管理」の後悔:広さにこだわり、数十年後の維持が負担に
「せっかく広い土地があるから」と、今の実家と同じスケールで建て替えてしまう。気持ちは十分に理解できますが、10年後・20年後の視点で考えると、少し慎重になる必要があります。
令和5年の住宅・土地統計調査によると、福井県の1住宅あたりの延べ面積は135.66㎡で全国2位。全国平均と比べてもかなり広い家が多い地域です。
40坪、50坪の大きな家は、若い世代が使い切れるうちは魅力的かもしれません。しかし、子どもが独立して夫婦2人になったとき、広い家の掃除やメンテナンス、毎年かかる固定資産税は、やがて重い負担となってのしかかります。
(参考)令和5年住宅・土地統計調査|総務省統計局・福井県の概要
解決策:「今の実家の広さ」を基準にしない
今の実家のスケールをそのまま建て替えに持ち込むと、将来の管理負担も相応に大きくなります。10年後、20年後に誰がその家に住み、誰が管理するのかを見据えたうえで、必要最小限の広さ(ダウンサイジング)を検討しましょう。近年、福井でも30〜35坪程度のコンパクトな平屋への建て替えが増えているのは、核家族が増えた今、こうした将来を見越した選択が広がっているからです。
間取りについても、子ども部屋として使っていた空間が将来は趣味室や書斎になるような、”ライフスタイルの変化に合わせて用途を変えられる可変性のある設計”を取り入れることで、長く快適に暮らせる家になります。
あなたの状況はどれ?実家建て替えの代表的な4つのパターン
実家の建て替えといっても、その背景や目的はご家族によってさまざまです。「わが家はどのパターンに近いか」を整理することで、優先すべき設計や資金計画の方向性が見えてきます。

1. 【二世帯同居】親のサポートと子育ての助け合い
親が高齢になったタイミングで、子世代が実家に戻るパターンです。「親の健康が心配になってきた」「子育てを手伝ってもらいたい」——そんな現実的な理由から、このパターンを選ぶ家族が増えています。
共働き世帯にとっては、祖父母の存在が子育ての大きな支えになります。一方で親世代も、孫の成長を間近に感じながら暮らせる喜びがある。お互いの距離感と独立性をどう設計するかが、二世帯住宅のポイントです。
完全分離型・一部共用型・完全同居型など、プライバシーの確保の仕方は間取り次第で大きく変わります。光熱費や生活費の分担ルールとあわせて、設計の初期段階から検討しておきたいところです。
2. 【代替わり】親が住み替え、子が実家を引き継ぐ
親がコンパクトなマンションや高齢者向け住宅に移り、空いた実家の土地を子世代が引き継いで建て替えるパターン。土地代がかからない分、建物に予算を集中させることができます。また、思い出ある土地を手放さずに済むという安心感も、このパターンを選ぶ大きな理由のひとつ。兄弟が複数いる場合は、誰が土地を引き継ぐかを事前に合意しておくことが重要です。
「生まれ育った場所に自分の家を建てる」ということは、別の場所に土地を購入して家を建てるのとは少し感覚が異なります。地域のコミュニティとのつながりや、子どもにとっての祖父母の家の記憶——そういった目に見えない資産が、この土地には刻まれています。
コストの合理性だけでなく、そうした背景も大切にしながら設計を進めることで、より長く愛着を持てる家になるかもしれません。
3. 【親のための建て替え】親が安全・快適に暮らすため
子は独立して別の場所に住んでいるけれど、親が住む実家の老朽化や寒さ、バリアフリー性能の低さを解消するために、子世代が主体となって建て替えを進めるパターンです。
福井の冬は厳しく、断熱性能の低い古い家は室内の底冷えに悩まされます。ヒートショックのリスクや転倒・段差の危険を考えると、「まだ住めるから」と建て替えを先送りにすることは、ただ快適性を損なうだけでなく、安全面の不安も付きまといます。
このパターンでは、30坪前後のコンパクトな平屋が選ばれることが多い傾向があります。維持費を抑えながら、動線がシンプルで温かい家——それが親世代の住みやすさと安心につながります。
4. 【相続を見据えて】資産を健やかに次世代へ
親が元気なうちに、相続税対策も兼ねて建て替えを行うパターンです。古い建物の評価額を見直し、建て替えによって資産を整理することで、将来の相続手続きをスムーズにする意味合いがあります。
「誰が引き継ぐか」という問いを、家族みんなが揃って元気なうちに解決できる、感情的なもつれが起きやすい相続の場面を、事前のプランニングで穏やかに乗り越える——これが、このパターンの建て替え計画における最大のメリットといえるかもしれません。
建て替えをきっかけに、家族が同じテーブルで未来のことを話し合う。そのプロセス自体に、大きな意味があるのではないでしょうか。
建て替えか?リノベーションか?迷った時の判断基準
「壊して新しくする」ことだけが正解とは限りません。実家の状態によっては、リノベーションの方が適している場合もあります。費用面だけでなく、家の構造や思い入れも含めて判断することが大切です。

建て替えを選ぶべき目安
| 状況 | 建て替えが適している理由 |
| 基礎・構造に傷みがある | 修繕しても根本的な安全性が確保できない |
| 断熱・気密性を抜本的に改善したい | スケルトン状態にしてからでないと高性能化に限界がある |
| 建物が旧耐震基準(1981年以前) | 現行の耐震基準を満たすための改修コストが高くなりやすい |
| 間取りを大幅に変えたい | 壁・柱などの位置によって設計の自由度に制約が出る場合がある |
基礎が傷んでいる、断熱性能を劇的に向上させたい——そういったケースでは、リノベーションでは対応しきれない部分が出てきます。特に福井の気候では、断熱・気密性能が暮らしの快適さに直結するため、中途半端な性能向上は後悔の種になりかねません。
リフォーム・リノベーションを選ぶ目安
一方で、柱や梁のつくりが非常に良く、今の家の面影を残しながら住み継ぎたい場合や、内装の一部だけを整えれば十分に暮らせる状態であれば、リフォームやリノベーションの方がコストを抑えながら満足度の高い仕上がりになることもあります。
古民家的な味わいのある木組みや、職人の手仕事が生きた建具——。リノベーションには、そういった古家の要素を生かしながら現代の暮らしに合わせていくという、新築では得られない豊かさもあります。
両方の視点から比較することが大切
建て替えとリノベーション、どちらが正解かは家の状態と家族の希望、今後の展望によって変わります。重要なのは、どちらか一方の視点しか持たない会社に相談するのではなく、両方の選択肢をフラットに比較できる相手を選ぶことです。
永森建設では、お客様の話を聞きしたうえでリノベーションが適していると思えば、永森建設のリノベーション部門『永家舎』をご紹介するなど、新築とリノベーションの両方の視点から、お客様のご予算と家の状態に合わせた”中立な最適解”をご提案いたします。
「建て替えかリノベーションか迷っている」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
実家の建て替えを成功させるための進め方
実家の建て替えで後悔しないためには、”何を・いつ・誰と”決めるかの流れを整理しておくことが助けになります。

ステップ1:家族で現状と方向性を話し合う
まずは家族全員で、「将来、誰が実家に住むのか」「土地の名義はどうするか」という大枠を話し合いましょう。あらかじめ明確にしておくことで、計画はよりスムーズに進みます。
ステップ2:現地調査と総予算の算出
建物の老朽化状況、接道条件、地盤の状態など、現地を見てはじめて分かる情報がいろいろあります。これらをもとに、解体費・建築費・諸費用を含めた「総予算」を試算します。
ステップ3:建て替え or リノベーションの判断
現地調査の結果をもとに、建て替えとリノベーションの両案を比較します。「建て替えでないとできないこと」と「リノベーションで十分対応できること」を整理すると、判断しやすくなります。
ステップ4:設計・プランニング
方向性が決まったら、いよいよ間取りや性能のプランニングへ。家族の暮らし方、将来の管理のしやすさ、福井の気候に合ったプラン——これらをバランスよく取り込みながら進めていきます。
ステップ5:相続・名義に関する手続きを並行して進める
設計が進む中で、司法書士・税理士との相談も並行して進めることをおすすめします。建て替えのタイミングは、名義や相続の整理を進める絶好の機会です。
関連記事:家づくりは何から始める?後悔しないための順番と最初のアクション
実家の建て替えに関するよくある質問
Q. 建て替え中の仮住まいはどうすればいいですか?
A. 工事期間中は、近隣の賃貸物件への入居や、親族宅への一時的な居候など、状況に応じてさまざまな選択肢があります。仮住まいや引っ越しにかかる費用はしっかりと総予算に含めて計算しておきましょう。
グループ会社のエーシンで仮住まい用の賃貸物件をご紹介することも可能です。
Q. 親名義の土地に子が家を建てると贈与になりますか?
A. 土地の使用権(使用貸借)であれば、一般的に贈与税は発生しません。ただし地代を払う場合や、土地の名義変更が伴う場合は税務上の扱いが変わることがあります。具体的な判断は税理士への相談をおすすめします。
Q. 解体費の目安を教えてください。
A. 木造住宅の場合、1坪あたり3〜5万円が一般的な目安です。ただし、重機の搬入可否・廃材の種類・アスベストの有無などによって価格は大きく変動します。現地調査なしの概算はあくまで参考値として捉え、必ず現地調査に基づいた見積もりを取るようにしましょう。
また、建築費と同様に、解体費も年々高騰しています。建て替えは早めのご判断を。
Q. 実家の建て替えに使える補助金はありますか?
A. 国や自治体によるさまざまな補助制度があります。長期優良住宅や省エネ住宅に関連する補助金、福井県・各市町の独自制度など、条件に合うものを組み合わせることで費用を抑えられる場合があります。
年度ごとに内容が変わりますので、最新の補助金情報は計画の段階で確認することをおすすめします。

まとめ:実家の建て替えに迷ったら?
実家の建て替えは、単なる工事ではありません。家族の歴史を守りながら、未来の暮らしを整える大切なプロジェクトです。
数値上の広さやコストも大切ですが、それ以上に「家族がどう感じるか」という心地よさを大切にしてください。土地の名義や相続、費用面での不安、そして「何から始めればいいか」というお悩みも、まずは福井の事情に精通した建築のプロに相談することから始めてみませんか?
実家の建て替えは、一度きりの大きな決断です。後から「あのとき相談しておけばよかった」と思わないためにも、早めに動き出すことが何より大切。家族の想いをしっかり整理できる場所が、きっと見つかります。
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